みのる:西宮市は中国紹興市と友好都市提携しています。紹興市は、書道で著名な王義之の「蘭亭」でも有名ですが、両市の提携を記念して北山緑化植物園内に「北山墨華亭」「小蘭亭」及び「曲水庭園」が造られました。この植物園は GH吟行のホームグラウンドでもありました。反り上がった軒を飛簷といい、尖った軒先を「簷牙」といいます。日本の寺院建築や迎賓館などにも多く見られるので「飛簷」「簷牙」は俳句でもよく詠まれます。覚えておくといいですね。

康子:大きな料亭や旅館、ホテルなどの一面の大きな窓が池に面していて長い軒下が伸びている、その垂木部分に水陽炎が映っている、という情況を想像してみました。中からの方がよく見えそうなので、立ち位置は建物の中でしょうか。飛簷とは私もよくわかりませんでしたが、高く反り上がった軒とのことなので水陽炎も大きく華やかなのでしょう。暑い夏に涼を感じている作者が浮かびました。

澄子:わざわざ飛簷、亭という漢字を当てているので 私も池端に張り出したり池の中にある浮御堂のような、中国式四阿を思い浮かべました。日本庭園でも中国風を模した四阿は時々見かけます。庇が非常に大きく反り返り屋根は六角形のものが多く華やかな印象を受けます。大きな反り返った庇に水面のひかりが反射し揺らぐ様は 四阿そのものが揺らいでいるような錯覚に一瞬陥ったのかもしれません。

むべ:「飛簷」「亭」という単語から、中国庭園でのひとコマなのかなと思いましたが、日本に本格的な中国庭園があるのか調べきれませんでした。(作者が中国へ旅行、という線はないでしょうか…?)昔、庭園の多い蘇州という街に住んでいたことがあります。たいてい池の真ん中か、築山のてっぺんに四角形や六角形の亭がありました。屋根は大きくそり返って、軒天の面積が広いところが、日本の四阿と違います。そこに池の水が反射して明るく揺らめいている、なんとも涼しげな様子です。夏の一日、庭園全体の調和した美しさを感じる御句です。

かえる:亭は中国風のあずまやのことを指すので飛簷かと思いきや、読み仮名をよくみると、てい、とあります。やっぱりお店やお宿なのかもと、お恥ずかしながら力不足につき十分な理解に至りませんでした。光景としては軒裏の水陽炎に涼を感じている、と言うことだとは思うのですが、私は日本人なので、和風の建物の方が風情をより強く感じますので、そちらを採用。ふっと見上げた木組みの軒裏に水陽炎を見つけ、目で涼を感じている。そんな瞬間の切り取りでしたら素敵だなと思いました。