みのる:桜の花が一面に咲き連なっているようすを雲に見立てて花の雲という。やや遠目の眺めでないとこの雰囲気は出ないでしょう。時計台という異質な対象にロマンを感じたり、鐘の音も連想できて素敵な絵柄の句です。花の雲を抽んでてをる天守閣、観覧車、摩天楼…でも一応句にはなるので直ぐに真似たくなりますが、物真似俳句ではなくてオリジナルな絵画性を見出さなくてはいけませんね。

えいいち:ヒントから緩やかな登り坂道の桜並木の頂点が一点に集約された花の雲がありそこから時計台の三角屋根が見えるという光景を思いました。美しい花の自然と人の営みを感じ、大げさに言えば生きている喜びを感じます・・春はいいですねえ。

澄子:坂がかる街並みは丁度桜が満開……満開の桜に他の物は隠され坂の下から見上げたら時計台だけが見えた……教会か洋館の時計台でしょうか……本当に絵葉書のような美しい情景で 花曇りの空と白っぽい時計台をイメージしました。 

かえる:緩やかに丘を登るような満開の桜並木。見上げた先には思いがけず時計台がひょっこりと顔を出しています。ピンク色の雲のような花の中に抽きんでる三角お屋根の時計台は、まるで童話の世界のようでなんとも可愛らしい光景だったことでしょう。花の命は短いので、あと何日かずれていたらこの完璧な瞬間に立ち会うことはできなかったはず。幸運を噛み締めて桜を愛でている作者の姿が浮かびます。

康子:作者の立ち位置は「抽んでてをる」の措辞により桜の木を少し遠目に見ているのでしょう。青空に満開の桜がピンクの雲のように浮かび、そこに時計台が突き出ている。まるで絵葉書を見ているようですが、音の鳴る「時計台」の言葉により動画も想像できる句になっていると思いました。さぞかし美しい景色なのでしょうね。春が楽しみになる句でした。

むべ:美しい絵だなぁと思いました。桜は満開に咲き連なり、見上げるとまるで薄ピンク色の雲のようで、そこにまったく異質な時計台の、おそらくとんがり帽子の屋根がすーっと貫いている…そんな絵です。今を盛りと咲き誇る桜にもいのちがあり、その盛りは永遠には続かないことを、時を刻む時計台が教えてくれるようです。今この場に立ち会えた幸い、そのような作者の満足感も感じました。