みのる:若者の農離れで後継者不足となったこの種の景をよく見かけます。里山周辺のそれは、貸し農園…という看板でシルバー族が多いのですが、揚句は、日曜菜園…都心に近い郊外で比較的若い世代が対象のようです。蝶は春の季語、冬野菜の収穫も終わり春田打ちの時期ですが収穫されずに残った大根葉が長けて菜の花に似た咲を咲かせるのでそれらに蝶がよってきているのでしょう。趣味の農作業に勤しむ人たちの活気も伝わってきますね。
澄子:日曜日の市民農園の景でしょうか。作業に勤しむ人達の帽子やシャツや靴の色もとりどり……その間を飛び交う蝶々……土の匂いや汗ばむ人々の様子等 きっとアブラナ科の野菜が沢山植わっているのでしょう。明るい色彩に溢れた春爛漫の景を想いました。
むべ:週末には野菜の世話をしている人で賑やかな貸農園が舞台です。みなさん愛情をこめて野菜を育てていることでしょう。下五「蝶あそぶ」の蝶は、アブラナ科の植物が大好きなモンシロチョウではないでしょうか。あっ、またキャベツに卵を発見しました。でも農薬はできるだけ使いたくないし…ネットを張り卵を産みつけられないように工夫します。人間と蝶の知恵比べ、根気比べの様相です。しかし、家庭で食べるための野菜作りで、農業のプロではないため、そこまで徹底した対策はとりません。まぁいいかという声が聞こえてきそうです。ところで、飛び回るモンシロチョウのほとんどがオスなんだそうです。メスは産卵に備えて体力温存、じっとしているとか。
康子:春の様子が一気に浮かぶ句です。家庭菜園ではなく日曜菜園なので、どこかを借りている共同の菜園なのでしょう。「賑はへる」により一面に春野菜が実っていることがわかります。蝶があちこち存門している様子がまるで遊んでいるように見えたのでしょう。「あそぶ」の措辞により作者の麗らかな気持ちが伝わって来ます。
えいいち:遊休農地を市民に貸し出している市民農園を想像しました。麗らかな春の休日、日曜菜園に貸し出された農地に人々が集まって小さな自分の区画の菜園を楽しげに世話をしている光景が浮かびます。そんな日曜菜園に幾頭もの蝶(モンシロチョウを想像しました)が人々や菜の間を飛び交っています。蝶も人もこの気持ちよい季節に遊んでいるようで、とても楽しそうにみえます。
かえる:春は夏野菜の植え付けに向けて準備を始める時期です。日曜菜園は貸し農園と同義でしょうか。目にも鮮やかな夏野菜の収穫を夢見て心を弾ませる、普段は会社勤めの俄か農夫で溢れ、この時期の週末はさぞかし賑やかなのでしょう。慣れない手つきで畑仕事に勤しむ人たちの真剣な様子が「蝶遊ぶ」との対比で効果的に表現されているように感じました。