みのる:広々とした森林公園の中でシンボルツリーであるメタセコイアの大樹が美しく若葉して抜きん出ているようすです。森統ぶる…の措辞によって森全体も又若葉しているのだということに着目したいですね。写生の焦点をピンポイントにしぼることで若葉した美しい森の全容は連想に委ねるという巧みな写生技術です。

澄子:威風堂々としてひと際目を引くメタセコイアの大樹を想いました。成長が早く円錐形の樹形が美しく 大きなものは50メートル位になるとか……ビルなら15階建辺りでしょうか 五月の美しい森の情景が浮かんできました。

康子:「若葉して」の措辞によりそれまでは枯木だったメタセコイアも浮かんできます。枯木の時には空を透かしていましたが、今や若葉が生え始め、緑が天を突き刺すように立ち、森の中で圧倒的な存在感が出てきているのでしょう。「森統ぶる」によりその様子がはっきり浮かんできます。季節の移り変わりを感じる句です。

かえる:メタセコイアは落葉樹のようなので、冬は大きな体躯の割にシルエットがほっそりして頼りない感じなのでしょう。ところが、若葉を繁らせる初夏になると、一転して威風堂々。作者の目には、その様がまるで森の樹々の若き王者のように映ったのだと思います。

えいいち:冬になるとすっかり葉が落ちて枯木のようになったメタセコイアですが若葉が出始めて森が少しずつ明るく活気づいてゆく様子が思い浮かびます。上五の「・・して」からメタセコイアが若葉をもって森の支配者(主役)になる、という雰囲気もありますが、さらにメタセコイアはこの先も季節折々に成長して美しく森を彩るのだろうという希望も感じます。私は「さあ、これから!」という森の一年の始まりを感じました。

むべ:セコイアではなくメタセコイアですので、かなりの樹高があると思われます。冬には葉を落とし老王のようだったメタセコイアが若返り、雑木で構成される森の統治者としての風格や威厳を感じます。「新樹」という季語でも良さそうですが、「若葉して」により、みずみずしい葉が今まさに萌え出る、その薄みどりの美しさに焦点が合っていると感じました。