あひる:どんよりとした冬雲がわずかに切れたその瞬間、さっと太陽の光が射した様子です。寒々と曇った冬の日、私たちに届いていなくても、光は常に降り注いでいるのだと改めて思いました。そして一瞬の隙間も逃さず射してくるのです。電光石火とは言い得て妙、脱帽と思いました。

せいじ:冬日が三冬の季語。「電光石火」というひとことによって、雲が切れると同時にただちに冬日が差し込む様子が見事に描写されていると思った。と同時に、寒い冬の日は太陽が恋しく、冬日の射すのを待ち望んでいるから、「電光石火」には、迅速に望みがかなえられた喜びが込められているように思った。

むべ:「冬日」が三冬の季語。雲が切れた一瞬に天から地へさーっと光が届いた絵を想像しました。中七の「電光石火」により、それが瞬間的な出来事とわかります。単に冬の太陽、冬の日差しというよりも、何か神々しい存在のような冬日を感じます。十七音の中に四字熟語がうまく挟まって、スピード感のある句に仕上がっています。

えいいち:冬の曇天の空だったのでしょう。雲の切れ間から日が覗いた様子の句ですが「電光石火」「射す」の措辞から矢のように鋭く強い光が一瞬地上を照らした情景を想像しました。そしてまたすぐに曇天に覆われて地上の町並みはもとの灰色っぽい冬の景色に戻ったようです。措辞には無い冬の冷たい空気感をほんの一瞬の日光の描写によって対照的に感じさせているのではないかと思います。