あひる:冬支度が晩秋の季語。時代が随分と変わり、今は結婚の履歴書に男性も家事がどれくらい出来るかを競って?書いているようです。この句の場合は妻が家事の責任を一手に引き受けていることを前提としています。作者は定年で家に居るようになって、主婦の働きの大変さをつぶさに見ることとなり、感謝の気持がそのまま一句となったようです。テキパキと冬支度をする妻の傍で、少しおろおろしながら手伝っているのではないでしょうか。温かい夫婦の関係が滲み出ているようです。

むべ:「冬支度」が晩秋の季語。おそらく作者リタイア後の句ではないでしょうか。リタイア前の激務とリタイア後の心身のゆとりのギャップを感じればこその句だと思います。冬支度とは、保存食づくり、衣替え、暖房器具のチェックなどでしょうか……?しかも通常の家事に加えての冬支度ですから、マルチタスクをこなす奥様への尊敬のまなざしも感じます。庭や家屋の外の冬支度は、きっと作者の担当なのでしょうね。

せいじ:冬支度が晩秋の季語。定年になって毎日家にいると、日々休みなく家事に勤しんでいる妻への感謝とねぎらいの気持ちがわいてくる。特に、することの多い冬支度の季節ともなると、そのことを強く感じるのである。家事を「主婦業」と捉え、その仕事に「定年はなし」と断定しているところに、申し訳なさがよく表れている。いまはその主婦業を二人で分担しているのではないだろうか。

えいいち:冬支度が晩秋の季語。衣類、寝具や暖房具など冬用のものを用意し夏物を片付けるなど主婦は本当に大変です、と言いながらも家事を一切やらない私が大声で言えることではありません。若い頃は妻や子供を休日の度に遊びに連れ行ったりして家族サービスをしていましたが、今や何もしないでゴロンとしています。しかし彼女は昔も今も何ら変わりなく決まった時間に朝食、夕食を作り掃除洗濯、家族の世話をこなしてしています。ほんとに頭がさがりっぱなしの今日この頃です。句を読むと自分の家の事ばかりが思い浮かんでしまいます・・私事で大変失礼を致しました。