むべ:「法師蝉」が三秋の季語。寺院のある山を歩いていたのでしょうか。ものすごい数の法師蝉が鳴いていたのでしょう。山全体が勤行しているかのような、そんな迫力がありますね。

あひる:法師蝉が秋の季語。法の山、法師蝉とあれば大合唱はお経のように聞こえたのだろうと思います。これが法の山でなかったら、この味わいは出なかったかも知れません。下界より一足先に秋が来ている比叡山延暦寺や鞍馬寺を想像しました。

えいいち:法師蝉が季語です。はて法の山の僧侶の念仏の大合唱なのか、法師蝉の大合唱なのか迷う所でありますが、私は大合唱の措辞が僧侶の念仏と法師蝉の鳴き声が見事に調和してあたかも合唱しているかのように思いました。自然に生きる蝉の鳴き声と仏に帰依する僧侶の念仏の合唱調和が何人であろうと感ずるところのある響きとなって秋の山に響き渡っていると作者は感じたのではないでしょうか。

せいじ:法師蝉が初秋の季語。法の山は比叡山や高野山、あるいは普通の山の寺であろうか。法の山と法師蝉の取り合わせが面白い。法師蝉の大合唱はカノンのように美しく、僧が朗唱する声明のように聞こえたのではないだろうか。