むべ:「秋日」が三秋の季語。なかなか終わらない会議の行われている会社の一室を思い浮かべました。大きな窓は西向きで、作者は落日を見たのでしょう。自然の摂理は神がデザインされたとおり秩序正しいのですが、人間の会議はなかなか……というところでしょうか。

あひる:秋の日は釣瓶落としという言葉がすぐに浮かびます。議事は堂々めぐりで、いつものことなのでしょうか。作者の心は議事ではなく、美しい落日に向いているようです。こんなことをも俳句に作り上げて、「いっちょ上がりー」とにっこりしているのではないでしょうか。議事はまだまだ進んでいないようです。

せいじ:秋日落つが三秋の季語。秋の日は「釣瓶落としの秋の日」と言われるように、急速に落ちてゆく。それに比べて、我らの会議の何と長いことか。もうすっかり暗くなってしまいましたよ。この遅速の差をとらえたところが面白いと思った。

えいいち:秋の落日の中の進展のない会議の様子を詠んだ句です。上五からもう随分長い時間会議が行われていることが想像できます。はかどらない議事に作者は少々嫌気がさしてしまったのかもしれません。上五の物寂しい季節感はその会議の虚しさによく響きます。また「落つ」という措辞に、俗世の会議など我関せず、と言わんばかりに虚しくも美しい秋の夕日の光が会議室内に強く差し込んでいるように感じました。

えいじ:「秋日」は、三秋の季語です。場所は、会社か自治会の会議室でしょうか。皆で話し合うばかりで、一向に決されることのない会議。その会場に眩しい秋の夕日が差し込んでいる情景でしょうか。堂堂めぐりの議論に少々の疲労や焦燥を感じながらも、夕暮れの秋の日差しに癒やされている詠み手がいるようです。宜しくお願いいたします。