むべ:「秋を聞く」が三秋の季語。「古城址」という上五だけでもうすでに雰囲気が秋ですね。そしてどこからか鳶の鳴き声が聞こえてきて、心が静かに澄んでいくような心持ちになったのではないでしょうか。中七の「秋を聞けとぞ」がこの句の肝で、「…とぞ」が強意の中にも感動があるように思いました。

えいじ:「秋を聞く」は、三秋の季語です。あそこに飛んでいる鳶の鳴き声こそが、この城跡の秋季なのだ、というのが句意だと思います。「秋を聞く」という季語は、耳にする音そのものよりも、先ず場所というか空間を具体的に詠むのが大切のような気がしました。また、「鳶の笛」は鳶以外の鳥に使って詠んでみたくなりました。宜しくお願いいたします。

あひる:秋を聞くが三秋の季語。古城址に佇む作者に空から鳶の笛が降ってきます。「この鳶の笛こそが秋の声だよ」と言わんばかりに、繰り返し繰り返し鋭く澄んだ音色が降ってきます。高い空も古城址の佇まいも爽やかな空気も、鳶の笛に席巻されているようです。

えいいち:以前に秋を聞くが季語でしたから秋を聞けが季語なのでしょうか。秋の気配を古城址に感ぜよと笛の如く鳶が鳴いている、という句だと思いますが古城址には何もなく空は高く澄み鳶がぴゅるるるると鳴きながら飛んでいる、そんな光景を思い浮かべました。何もない古城の址に昔の豪族たちの栄枯盛衰の侘しさ、天からは寂しげな鳶の鳴き声が聞こえ深まる秋のもの哀しさをしみじみと感じさせてくれます。

せいじ:秋を聞くが三秋の季語。秋の澄み切った青空をバックに、高くそびえる古城址の上を鳶が舞っている。空の上から時折、鳶がぴいひょろろと笛のように鳴くのだが、それがまるで、秋の声を聞けと言わんばかりであった。作者は鳶に言われるまでもなくさまざまな秋の声を聞き秋を楽しんでいるのであるが、鳶の声を聞いてこれもまた秋の声の一つと認識させられたのであろう。