むべ:「藁塚」が晩秋の季語。しょぼしょぼ雨という措辞に、秋らしい少し淋しい気分を感じました。藁塚は地域によって積み方が異なるそうですが、雨を吸った重みで傾く藁塚の有様にも味わいがあり、収穫の喜びと盛り上がりの後にくる静けさを表しているのではないでしょうか。

せいじ:藁塚が晩秋の季語。「しよぼしよぼ雨」という言い方が面白いと思った。知らなかったが、辞書にもあるようである。あまり激しくはないがしとしとと降り続く雨、そんな雨に小さな田んぼの藁塚が傾いてしまっている。収穫を終えた後のしみじみとした田園風景が目に浮かぶ。

あひる:新日本大歳時記では、藁塚が晩秋の季語となっています。地域によっていろんな形があるようで、九州では丸い小屋のような形に積上げられ、子どもが登って遊べるほどの大きさです。ここではほんの数束の稲で一つの藁塚が出来ているのではないでしょうか。秋の雨に濡れて形が崩れているのが目に見えるようです。しよぼしよぼと言う措辞に慈しむような気持ちとユーモアがこもっています。

えいいち:藁塚が晩秋の季語。藁塚が小雨に濡れて滑るように傾いている光景を思いました。小田、しょぼしょぼ雨・・という措辞に作者の藁塚への穏やかな愛情と収穫後の農家の人達や田んぼの自然に「お疲れ様でした」と言葉をかける様な優しい労いの気持を感じました。

えいじ:藁塚(にお)は、仲秋の季語です。田んぼにある藁塚が秋の長雨に濡れて、傾いている情景を詠んだ句です。「小田の藁塚」と具体的にフォーカスされた上五の凝縮度に圧倒され、中七と下五の可笑しさに安堵するような印象の句です。宜しくお願いいたします。