えいいち:野菊が仲秋の季語。小さく可愛い野菊の花の群生した先に深く蒼い海が広がっておりその美しい色や生命観の対比に感動します。紺碧の措辞から切り立った岬の先の深い外洋の海を思い浮かべました。岬の上には草原があって綺麗な野菊がいっぱい咲いていて花の上に海が広がっているように感じます。綺麗な一枚の絵を見ているようです。

あひる:ちょうどこのような風景を見たことがあります。秋田の男鹿半島で、岸壁の上に広がる花野でした。紺碧の広々とした海に感動している作者は、ふっと目の前の野菊に気がついたのでしょう。たちまち主役は野菊となり、海が背景となったようです。

せいじ:野菊が仲秋の季語。太平洋や日本海に面した海岸段丘を思い浮かべた。平坦な段丘面には野菊が群生して花を咲かせており、切り立った段丘崖の先には紺碧の海が広がっている。時折、風の音や鳥の声、波の砕ける音も聞こえてくる。美しいけれども人を寄せ付けない大自然のなかにあって、野菊の花が母のようにやさしく感じられる。

むべ:「野菊」が晩秋の季語。中七「海展けたる」が動的で、作者がたどり着いた場所で視界が一気にひらけたことが推測できます。遠くには海、手前には野菊が揺れてるという光景に、作者は心打たれたのでしょう。夏の賑わいとは打って変わった静かな海と、やはり静けさの似合う野菊なのでした。

えいじ:「野菊」は、仲秋の季語です。浜辺に可憐な野菊が咲いていて、その花の向こうには、濃い青色の海が広がっている情景を詠んだ句です。遠景と近景が、ひとつに詠み込まれいて驚きました。野菊の優しさやひかえめな美しさを感じさせる句だと思います。紺碧の海は、太平洋でしょうか。若い頃に仲間たちとよく行った渥美半島の海岸線を思い出します。砂浜でしたが、すぐに深くなるので遊泳禁止でした。宜しくお願いいたします。