せいじ:村の秋祭の準備の様子を詠った句であろう。秋祭は三秋の季語だが、まだ準備段階なので秋祭の季語は使わなかったのだと思われる。秋祭は新穀を供えて神に感謝し、神と人々とが相喜ぶ祭とのこと。相喜ぶためのイベントの一つが相撲であろう。神の前の広場では土俵づくりに若い衆が精を出している。眼前の土俵づくりに代表させて、秋祭の準備に共同していそしんでいる村の人々の喜びを作者もともに喜んでいる。

えいじ:「秋」は、三秋の季語です。村社の前庭に毎年恒例の神前相撲のための土俵作りが始まると村に秋が訪れるのです。収穫の喜びと神への感謝を威儀を正して祝うのだと思います。夏祭りにはない清々しい風情が漂ってくる印象です。よろしくお願いいたします。

むべ:「村の秋」が三秋の季語かと思います。広前は神社の前庭のことだそうです。秋の収穫を土地の神様に感謝するイベントのひとつが、相撲大会なのでしょうか。現代ほどに娯楽が豊富でなかった時代、このような大会は、土俵づくりという準備段階から盛り上がったことと思います。力を合わせて土俵づくりしている人々の喜びやわくわく感が伝わります。

あひる:秋が季語ですが、広前に土俵づくりやという措辞が気分をどんどん盛り上げて、秋祭りだなーと思わせます。普段は眠ったようにひっそりとしている小さな神社が急に活気づいてくる時です。秋が、もの寂しさではなく、賑やかさで迫ってきます。

えいいち:村の秋祭りの相撲大会の土俵作り、句全体からとても楽しげな雰囲気を感じます。天気も上々、子供も大人も神様も皆総出の楽しそうな祭り支度の情景が目に浮かびます。