あひる:稲架が晩秋の季語。山村の黄昏時です。田圃に並ぶ稲架が次第にシルエットとなり人影も無くなり、山も黒いかたまりと見える頃、風景の主役は仄かに明るさの残る空に移ります。すると、ふと星を探してしまいます。山の端に見つけた星に「一番星みーつけた!」と、小さな喜びを感じます。稲架に干された稲の香りも山の空気も感じます。

むべ:「稲架」が晩秋の季語。夕暮れの田園風景を思いました。景色は少しずつセピア色に変わっていくのですが、西に位置する山からひょいと一つ星が現れました。おそらく宵の明星かと思われます。天では星々が神様の定められた秩序に従って運行し、地では多くの実りを神様が与えてくださいます。感謝と静かな喜びを感じる句。

えいいち:「稲架」が晩秋の季語。子供の頃は稲架のある田んぼが町中にもいくつかあったのですが今ではすべて住宅やマンションになってしまいました。稲架に掛けられた稲が山なみに思えます。そのちょうど端っこの上にピカリと光る金星が現れて綺麗な秋の夕昏れです。外で遊ぶ子どもらはそろそろ家路につきます。そんな情景が思い浮かびました。

せいじ:稲架が晩秋の季語。稲架掛けの済んだ秋の田の夕暮れ、日の没した西の山の端にひときわ明るく宵の明星が輝いている。何と神々しい風景であろうか。見事な自然描写であるが、同時に、自然とともに生きている人々の無事に仕事を終えた安堵感のようなものも見えてくる。