むべ:「星涼し」が三夏「夏の星」の子季語。美しい句ですね。作者は船旅の途上でしょうか。どちらを向いても海と星空ということは、湾の内ではなく、外洋かもしれません。街明かりは遠く、海は黒々と昏く、そして空は星々で明るく……洋上三百六十度という措辞に、大いなる自然、宇宙の真ん中に作者が存在している感じがします。

えいじ:「涼し」 は、三夏の季語です。乗船経験はなくとも、少し想像するだけでこの句の情景がたちまち浮かんできます。この句の主題は、詠み手を中心にした360度にあって、星そのものにはないように感じます。星を詠むのであれば、上五は「夏の星」ではないかと。とてもわかりやすい句だと思います。よろしくお願いいたします。

えいいち:「涼し」が夏の季語。読んだ瞬間からもう何も言えないほどの美しさと愛しさが心の中に湧いてきました。船旅の夜のデッキに見渡す限りの星々が海風に瞬き二人を包んでいます。なんてロマンチックな光景でしょうか、うらやましい限りです。そんな私の勝手な想像がぱっと浮かぶなんて俳句とは良いものですね。

せいじ:星涼し(夏の星)が三夏の季語。満天に輝く星空を仰いでの感動である。「洋上三百六十度」が、作者が今どこにいるのかを過不足なく表している。

あひる:星涼しが夏の季語。なんと、素晴らしい経験をされたことかと思いました。星は一年中空にありますが、夏の夜の星は昼の暑さを耐えてきた身をしみじみと癒やします。それも夜の海、どちらを向いても涼し気な星が被さるように広がっています。三百六十度と言いきって終わるところが印象的です。