あひる:大人になってから観覧車に乗った記憶がほとんどありません。作者はきっと夏休みにお子さんかお孫さんを喜ばせるために乗ったのではないでしょうか。「ほらほら、今天辺だよ!」と「や」の切れ字がわくわく感を表現しています。遠くに海から立ち上がる入道雲が並んでいます。心も身体も活性化するようです。

せいじ:雲の峰が三夏の季語。観覧車の天辺から見る雲の峰は、見上げるというよりも、同じ目の高さか、あるいはむしろ、見下ろすといった感じになるのではないだろうか。天辺に達した瞬間、何とも言えない気持ちよさを感じたのだと思われる。スポーツなどの世界では、最近、頂点に立ったときの景色を見てみたいというようなことが言われるが、天辺からの景色、果たしてどのような景色が見られるのだろうか。

むべ:「雲の峰」が三夏の季語。観覧車の醍醐味はやはり高度による眺めの良さ、それもタワーのような垂直方向に高くなるのと違って弧を描いてだんだん高くなるところではないかと思います。まさに今観覧車の最高地点に到達した作者は、手の届きそうなところにもくもくと湧く入道雲を見たのです。すると、観覧車は弧を描いて低くなり始めます。一瞬の邂逅でした。

えいいち:「雲の峰」が夏の季語。観覧車に乗り丁度一番上に来た時の情景だと思います。作者は遊園地に遊び来て楽しげに観覧車に乗っているのでしょう。ちょうど一番高い所に差し掛かり「いま天辺や」という措辞でわくわくしている気持を強く感じます。天辺から見た景色は青空の下の地平線に添って浮かぶ白い雲の連なりが連山の如く見えるのでしょう。山登りして頂上で見る様な晴れ晴れした気持ちの光景が思い浮かびます。