せいじ:月下美人が晩夏の季語。「パジャマ着て」にリアリティーがある。今か今かと開花を待っている期待感、緊張感が伝わってくる。

むべ:「月下美人」が晩夏の季語。一期一会を感謝することが句作の奥義だとすれば、月下美人の開花はまさに奥義そのものです。一夜咲いて萎むのですから、その機会・瞬間を捉えようと、夕食も入浴も早々に済ませ、準備万端、月下美人の前に対峙しているパジャマ姿の作者を想像し、微笑ましくなりました。上五の「パジャマ来て」にリアリティがあり、夏の夜のくつろいだ雰囲気もよく表れています。

えいいち:「月下美人」が晩夏の季語。年に一度夕方から夜にかけて咲き始め朝には萎んでしまうと言われている珍しい花だそうですが作者は開花を見逃すまいと夜を徹して観察しているのでしょうか。興味津々でパジャマ姿で見守っている微笑ましくもすごしやすい夏の夜の光景が浮かびます。

あひる:月下美人が晩夏の季語。以前、毎年夏の一夜、隣のお爺さんが月下美人の鉢植えを我家に貸してくださっていました。今夜咲くと言うのです。せっかく貸してくださったものを見逃すわけにはいきません。家族でパジャマで今か今かと見守り続け、みごとに開花を見ることが出来ました。少し無愛想だったけど、こんな親切をしてくださった隣人を、あの夏の一夜と共に懐かしく思い出します。