あひる:俳句には何よりも季節感が大事だと教わります。ここではただの木陰ではなく「よき木陰」ということで、夏の強い陽射しの中、大樹の作る優しい木陰を思いました。一つの詩碑も作者もほっと涼しさに寛いでいるようです。

むべ:「木陰」を「緑陰」の関連季語(あるいは子季語)ととりました。一茶に「笠で貌ぱつぱつとあふぐ木陰かな」という句があるそうです。先日都内のある場所でまさにこの光景に出会いました。欅並木の大樹の幹の近くに虚子の句の石碑が建っており、涼しげでした。涼しげなのは人ではなく一詩碑なのですが、それを見ている作者にも風が吹いています。暑い季節に良き風を感じる一句。

せいじ:季語はないが夏の句と思われる。夏の強い日差しから詩碑を守っているかのように、そそりたつ大樹が大緑陰をなしている。石碑に刻まれた詩を読んでいると、涼しい風が吹き抜けたりもするだろう。大樹は、詩碑にも作者にもよい木陰を提供してくれている。

えいいち:木陰が夏の季語。どなたかの詩碑のすぐ脇の大きな木が強い日差しを遮り木陰が句碑を涼しげに包んでいる様子でしょうか。その大樹は碑を建てるにあたり植樹したものかもしれません。時が立ち成長し大樹となり碑を雨風から守り心地よい木陰を作ってくれていて、よき木陰としたことで碑の詩内容と木陰がよく似合ってもいる情景なのだろうなと思いました。