あひる:晩夏、熱暑を避けて家に籠もり、本棚の整理をしているのでしょう。古い本はいつの間にか日に焼けていたり、紙魚が出てきたりします。中に鉛筆で線を引きながら読んだ本も出てきます。難しい内容を何とか自分のものにしようと、熱心に読んだあの時を思い出します。これは捨てられないな…と、大切に陰干して、仕舞います。

むべ:「曝書」が晩夏の季語。初心というのはおそらく俳句を学び始めた頃という意味ではないでしょうか。本棚や書庫にしまわれて本を虫干しするため、手に取った一冊。あぁ、この本は…と買った(あるいは贈られた、譲られた)当時のことがまざまざと作者の脳裏に蘇ったのかもしれません。追憶の日々。

せいじ:曝書が晩夏の季語。作者を初心に返らせるような一書とは何であろうか。勝手な想像だが、作者が俳句の初学者であったときに師からもらった手紙のような気がする。

えいいち:季語は曝書の晩夏。猛暑も過ぎた頃、爽やかな晴天の日に日陰の縁側で作者は蔵書の虫干しているのでしょう。書棚から取り出して広げると思わずそのまま読みふけってしまう本、あるいは見入ってしまう書画があり初心の頃を思い出したのでしょうか。私には曝書すべき書は持ち合わせませんが趣味の雑誌を整理するときに時間を忘れて再び見入ってしまうことがあります。この句が詠まれたのがいつ頃なのか、個人的には興味が沸くところであります。