むべ:「茂り」が三夏の季語。草の場合には「草茂る」として別季語になると歳時記にありましたので、ここでは豪邸の庭木が鬱蒼と茂っているのでしょう。作者は散歩をしながら、売りに出されたと噂の豪邸の前を通りかかったのではないでしょうか。手入れされていない庭木の様子に家も庭も荒れているのだろうな、と切ない気持ちが伝わりました。

あひる:茂りが夏の季語。暑さに任せて茂りゆく草、きっと丈の高い厄介な草も茂りに茂っているのでしょう。豪邸なのに、何か訳ありで売らざるを得なくなったのだろうと、じりじりと夏の日差しの中にあって寂しさを感じます。

えいいち:売られる豪邸と聞くとちょっと寒気が漂いますが売られるのが豪邸の茂りと聞けば蒸し暑い盛夏の野放図に生えた草木や壁を覆う蔦やシダが目に浮かびます。茂りかな、とほのかに哀愁を込めた詠嘆の表現が売主には失礼ながら面白く感じてしまいました。

せいじ:茂りが三夏の季語。少し前までは手入れが行き届いて美しかった豪邸の庭の樹木がいまは鬱蒼と茂っている。売りに出されていると人づてに聞いて、そうだったのかと残念に思うと同時に、手入れをしないとあっという間にこんなにも茂るんだと、夏という季節を実感している。