えいいち:蜥蜴が夏の季語。当初早鐘を打ったのは蜥蜴を見つけた瞬間にドキッとした作者の心臓だったのではないでしょうか。でも落ち着いてよく観察すると蜥蜴もまた驚き早鐘を打つように喉袋がドクドクと動いているのが見えるではありませんか。作者のユーモアを感じます。

あひる:田舎で育ち、兄は無類の生き物好きですが、私は恐がりで出くわせば逃げ出します。多くの生き物が活躍する夏はドキドキものでした。早鐘を打つのは私の心臓ですが、蜥蜴さんも驚いているのでしょうか。喉袋の動きを描写することで、目の前に生き生きと蜥蜴の姿が見えてきます。

せいじ:蜥蜴が三夏の季語。出し抜けに蜥蜴と出くわしたのではないだろうか。自分も驚いたが、蜥蜴はもっと驚いたに違いない。それが証拠に、緊張と不安で早鐘を打っているのは蜥蜴の方だ。蜥蜴さん、おどかしてごめんなさい。

むべ:「蜥蜴」が三夏の季語。わが家の庭や周囲では、(ヒガシ)ニホントカゲとカナヘビを見かけます。飼ったことはないのですが、捕まえたことはあります。「早鐘を打つは」という措辞がとても良いです。速いピッチで喉がトクトクと動いている、蜥蜴という小さな生き物の体の一部にぐーっとフォーカスし、目の前に蜥蜴がいるかのように想像できます。よく観察することが、写生の基本なのだなと思わされました。