えいじ:「滝」は、三夏の季語です。ネットで調べると、「百丈」とは、非常に長いもの、高いものなどのたとえとありました。とてつもなく落差の大きな滝であれば、膨大な落水量でなければ「巌も裂けよ」、「激つ」という言葉の使い方にはならないと思います。滝の激しく流れ落ちる水と巨大な巌との響き合いを見たままに詠んだ句だと思います。宜しくお願いいたします。

むべ:「滝」が三夏の季語。「百丈の巌」ですから、かなり落差のある滝なのでしょう。また、長さのみならず水量も豊かな滝であることが「裂けよ」「激つ」から想像できます。圧倒的なスケールを十七音でここまで表現できるのですね。

あひる:百丈は非常に長いもの、高いものとのこと。「裂けよ」「激つ」の措辞に激しい躍動感があります。客観描写と言うよりも、作者が滝そのものになり変わったようです。滝しぶきの涼しさが迫ってくるようで、言葉選びの大切さを感じました。

えいいち:とてつもなく大きな絶壁巌とそこを激しく落ちる滝を見ている情景ですが作者はいつしかその壮大な自然と一体化したのでしょう。激る滝に作者の思いをも込めて大きな巌を裂けと命じているように感じます。また「滝激つ」という美しい韻と意味深い言葉に痛く感銘しました。作者の秘めたこころの昂りをひしひしと感じる素晴らしい句と思います。

せいじ:滝が三夏の季語。断崖を落ちる滝のすさまじさを詠んだ勇壮な句である。一読、那智の滝を思った。那智の滝は、標高約300メートルの絶壁にかかり、落差約130メートルとのことだから、百丈(約300メートル)の形容もあながち大袈裟とは言えない。石を穿つ雨垂れのように長い時間をかけて石に穴をあける微弱な力にも驚嘆するが、瞬時にして巌を打ち砕くほどの強大な力には畏怖の念を抱かせるものがある。