えいいち:何という偶然か!私たちの記念日は今日であります。仲良い夫婦の結婚記念日の平凡な句ように思いますが読んだ人それぞれの思い出、読んだ人ごとに全く違った出会いの思い出、妻と共に歩んでゆく決断、あるいは紆余曲折の人生を思い浮かべる事でしょう。そんな暖かく楽しい句と感じます。

あひる:25年前の5月の佳き日に結婚式を挙げられたのかも知れません。俳句は人生の節目の記念写真に似ていると思います。また薔薇も人生の節目の相手への想いを伝えるのにぴったりの花だと思います。喜びも悲しみも言葉少なく読み込める俳句は、素晴らしいなと思いました。

せいじ:薔薇が初夏の季語。大きな節目となる25年目の結婚記念日に、日ごろ言えない感謝の気持ちを妻に伝える。いろいろなことを乗り越えてともに歩んできた糟糠の妻である。妻のことを想って妻の好きな薔薇を選んだのであれば、改めての愛の告白でもあろう。一般的に言っても、男性が女性に愛を告白するのに薔薇を捧げるほどそれにふさわしい花はないのではなかろうか。

むべ:「薔薇」が初夏の季語。なんと麗しい一句でしょう。銀婚式のお祝いは25周年、子育てもおおかた一段落し、夫婦二人の時間を取り戻し始める時期かと思います。前出(2023年4月10日)の「バラ剪りしときの手傷と覚えけり」の解説に作者の奥様が薔薇好きとありましたので、奥様の好みにも、また銀婚式のおめでたい雰囲気にもぴったりのお花です。季語ゆれがないですね。ところで、薔薇の色は何色だったのか、それが気になりますね……やはり王道を行く赤でしょうか。いや、むしろ感謝・幸福が花言葉のピンクかもしれません。