あひる:登山バスの揺れるさまを「尻振りぬ」とは愉快です。作者はこのバスに乗って来たのでしょうか、お疲れ様です。親しみ深い言葉を選んだことで、俳句全体が明るく温かい雰囲気になっていると思いました。

むべ:「登山」が晩夏の季語。舗装されていない凸凹道のため、バスの車体が左右に大きく振れています。小型でエアサスペンションのないバスなのかもしれません。車内でおしゃべりしていると舌を噛みそうです。バスが生き物のように描写されているのが面白いと感じました。

せいじ:登山が晩夏の季語。「田舎のバスはおんぼろ車、凸凹道をがたごと走る」という歌を思い出した。今降りた登山バスがお尻を振るようにして去っていく滑稽な後ろ姿に、乗車中の揺れによる苦痛も完全に吹き飛んでしまったのではないだろうか。登山バスがお尻を振って「登山、頑張ってね」とエールを送っているようでもある。尻を振ると見たところが面白い。