えいいち:私はこの句の「一穢なき蒼天」という措辞に感じいり、それが季節感を伝え雨水をたぷりと貯えた川の流れが抜ける様な青空から轟々と落ち激しい水しぶきが見えるような渓谷の滝を見上げる情景が思い浮かびました。

あひる:かなりの高さの滝だと思います。作者は滝壺に近いところに立っている。涼しい飛沫を浴びているかも知れません。そこから見上げる滝は空と繋がり、まるで空が滝を吐き出しているかのようです。何故か滝には見る人を別の世界に引き込むような魅力があります。

せいじ:滝が三夏の季語。滝壺に近づいて滝を見上げると、雲一つない晴れ渡った青い夏の空から直接に滝が落ちてくるように見えたのであろう。穢れのない空と滝水に心が洗われるようである。

むべ:「滝」が三夏の季語。「一穢なき」という上五から、抜けるような曇りのない青空を思い浮かべました。またもし中七・下五が「滝の落ちにけり」でしたらありふれてしまうところ、なんと蒼天が主語で滝を落としているのです。中学英語のSVO構文です。蒼天から滝、圧倒されている作者までひとつながりになりました。