えいいち:生命感を感じます。微か流れに自ら動き空を舞うかのようかの情景が思い浮かびました。

えいじ:「鷺草」は、晩夏の季語です。白鷺が舞うさまに似た花が咲くためこの名がある、と歳時記にありました。まだ、その花を私は見たことがありません。また、「一掬の風」というのはどのような風なのか。ほんのひとすくいの風ですから、ひとの体感ではとらえられなくて、鷺草(の花)が微動した瞬間に風を感じて、詠まれた句だと感じました。

あひる:鷺草はひと目で名前を言い当てられるほど白鷺に似ていると思います。その鷺草がそよぐでもなく、揺れるでもなく、ただ「動きけり」と言い表されていることは新鮮です。一掬の風はそれほど微かな風だったのでしょう。

せいじ:鷺草が晩夏の季語。いただいた造花の鷺草を玄関に飾っているが、まさに白鷺が飛ぶような形をしている。本物はもっと生き生きとしていることだろう。微かな風の動きとそれに反応した鷺草の花の動き、自然の微妙な変化を美しく捉えていて、心をくすぐる。一掬という言葉も美しい。

むべ:「鷺草」が晩夏の季語。風の助数詞として「一掬」を採用しているところがこの句の肝ではないでしょうか。一掬は「ひとすくい」、そこから転じて「ほんの少し、わずか」を意味していると思います。わずかな風に揺れる鷺草のありように作者は感動しています。野にある美しさがシンプルに詠まれ、さらりとした一句。