むべ:「鳰」が三冬の季語。「かいつぶり、にほどり」など読み方がいくつかあるようですが、ここでは「にほ」ですね。「潜く」という言葉を初めて知り、「をかし」とともにこの句を格調高くしていると感じました。同時に、下五の字余り「われもわれも」には生き物の躍動感や生命力を感じ、ユーモアもあります。

あひる:冬の季語となっている鳰は、潜水が得意な体長26センチほどの可愛らしい水鳥。「われもわれも」という措辞が、鳰がたくさん居ることや、愛嬌のある動きや、水面の波のきらめきを連想させます。

せいじ:鳰が三冬の季語。鳰に対する作者のまなざしがやさしい。をかしにはいろいろな意味があるようだが、ここは、かわいらしい、愛らしい、の意味に取った。一羽が潜ると続けざまに潜る様子は、まるで男の子が連れ小便をするかのようで、いかにも愛らしい。下五の字余りは、われもわれもと先を争うのに切りがないことを印象付ける。