素秀:線香花火は玉が出来てからが本番です。膨らんできてさあこれからなのですが、落ちてしまった。花火が終わるときの寂しさ以上に残念な気持ちが滲みでています。

むべ:「手花火」が晩夏の「花火」子季語。「線香花火」も子季語にあるようですが、指先でそっと持っているイメージがよりリアルに伝わるのは手花火なのかなと思います。みなさんの講評のとおり「これからといふ」中七が秀逸です。息を呑むような緊張感の後に来る、あー、落ちちゃった!という口惜しい気分。火の玉の美しさ、それを見つめる家族や友人の眼差しも想像できます。

あひる:手花火の中でも線香花火はみんなに好まれるようです。火の玉が上手くできると、そこから美しい火花の第二ラウンドが始まります。息を殺して玉を落とさないように気をつけて…あーっ落ちたとなります。このスリルで楽しさが増します。「これからといふ」という中七が全てを言い表していると思います。

せいじ:手花火が晩夏の季語。線香花火はいったん玉になったあと、そこから美しい炎が出る。その玉が落ちてしまった。周りからも嘆きの声が聞こえてくるようだ。「これからといふ」という言い方にがっかりした気分がよく出ていると思った。