素秀:雁の飛行隊列のように斜めに走る歩み板が菖蒲池に敷かれています。菖蒲の花を見やすくするためかデザイン的なものなのか。歩板にも美しさを見た作者の目があります。

むべ:「花菖蒲」が仲夏の季語。「歩板」を「あゆみ」と読むことを初めて知りました。花菖蒲は開花期には特に水が必要なのだそうです。池のようなところに板を少しずつずらしながら組んだ雁行型の木道のようなものがあり、作者はそこをゆっくりと歩きながら鑑賞しているのでしょう。花を愛でつつ、木道含めエクステリアの心憎いデザインにも作者は目を留めているのです。花そのものだけでなく、それらを取り巻く空間全体を楽しんでいる様子に、開放感も感じます。

あひる:花菖蒲のある所にはよく歩板が設えられていて、他に道があっても歩板の上を歩きたくなります。一定の長さの板は池の上にジグザグに架けられ、ちょっと進んでは休んで菖蒲を愛でます。水に落ちないようにと気をつけながら。花ではなく足下の板の風情にも楽しさがあります。

せいじ:花菖蒲が仲夏の季語。菖蒲園の雁行型の歩板をゆっくりと歩きながら色とりどりの花菖蒲を愛でている。歩板を雁行型にするとは昔の人はよく考えたものである。歩板を「あゆみ」と読むと教えてもらったときのことが思いだされる。