素秀:花の大きさの割に茎の細いポピーも頼らなく揺れているようで、虻が落ち着かないのも分かるような気がします。主季語は体言止めの花ポピーと取りたいところです。
あひる:たしかに虻は移り気だということに気が付きました。蝶は一つの花にじっと止まっているのにと。でも、思えば虻の身体は可憐な花の上でじっとしているには重すぎるかも知れません。風に揺れる華奢なポピーは、ちょっと太っちょの花虻に戸惑っている感じです。微笑ましい春の風景です。
せいじ:虻が晩春、ポピーが初夏の季語。春から夏にかけた時節、ポピーの花畑のようなところだろうか、虻がホバリングしていると思ったら、瞬間移動して、別の場所でホバリングしている、そんな風景を想像した。泰然自若としたポピーと、ちょこまかと動き回る虻の対比が面白いと思った。
むべ:「虻」が晩春の季語。下五の「花ポピー」は「罌粟の花」「雛罌粟」など別の季語(ともに初夏)を連想させますが、ここでは虻の様子が目に浮かびますので、虻が季語ととりました。それも、吸血性や捕食性ではなく訪花性の虻のようです。風に揺れる花ポピー畑を、虻が花から花へ短い時間で移動しているのです。気が多いなぁ、もっと落ち着いて花の蜜を吸ったらいいのに……