素秀:外灯も滲むほどの朧だと少し離れたら誰だか見分けがつかないかも知れません。声を掛けられて誰だろうと振り向いているようです。霧とは違う優しい雰囲気もあり不穏な感じはしません。

あひる:春、空気中に水蒸気が多い状態を昼は霞と言い、夜は朧と言うようです。長閑で温かい夜、後ろからでも誰と分かるほどの明るさがあったのでしょう。奥様とデート中を親しい方に発見された…と、想像を逞しくしてみました。

せいじ:朧が三春の季語。ぼんやりして物がよく見えない春の夜道であろう。自分を呼ぶ声がしたので振り向いたのだが、不意打ちを食らって、心底驚いたのであろう。それほどに閉ざされた深い朧であった。振り向く瞬間の描写にどっきり感がよく出ていると思った。