素秀:このまま読むと水漬く舟が花屑に囲まれて捕まっているよ、となるのでしょうか。捨て舟はまだ沈みきってはないように思えます。

あひる:花屑に取り囲まれている小舟が、岸辺の波にゆらゆら揺れているようです。虜となったと捉えたところがユニークです。水漬くという言葉で情景も目に浮かび、最後の五音も整っていて勉強になりました。

せいじ:花屑が晩春の季語。水漬く舟の中に花屑が閉じ込められている風景(舟の中の花)なのか、花屑の海の中に水漬く舟が閉じ込められている風景(花の中の舟)なのか、どちらにも取れそうであるが、花吹雪の中にある水面を想像して、後者と取った。小さな鰯の大群が大きな魚に立ち向かうように、花の屑が朽ちかけた舟を沈めたかのようでもある。