素秀:少し遠くから二人連れを見て老人と断定しています。服装や所作かもわかりません。それにしても花を見ている人たちは老若かかわらず幸せそうだなあと。

うつぎ:花堤の季語がとても効いている句だと思う。桜は誰の心も浮き立たす。その中のお二人を苦労を共にしてきて今がある偕老の二人ととらえている。その美しい姿に作者自身も幸せを感じているようです。

あひる:たくさんの人が訪れるお花見。花も見ますが、歩いている人々をついつい見てしまいます。若いカップル、若い親子、おしゃべりに夢中な媼たち、みんな笑顔で、見れば何となくその関係が分かります。労り合う高齢のやさしいカップルを作者の心のカメラが捉えたようです。

せいじ:調べてみて、花が、春は春でも晩春の季語であることをはじめて知った。お年寄りの二人連れが花堤を歩いている。作者は、二人の立ち居振る舞いから、老いるまで仲むつまじく連れ添ってきた夫婦にちがいないと確信した。暖かい句である。花堤は、ある意味、満開の桜に取り囲まれた閉鎖空間であるから、そこに二人を配置すると、まさに偕老同穴である。

豊実:ほぼ満開の桜並木のある土手を老夫婦がゆっくりと歩いている。苦楽を共に過ごした過去の思い出話などをしながら、穏やかな時を楽しんでいるのでしょう。