あひる:京都を巡る楽しさが零れ出ています。大路小路にはそれぞれに名前が付いていて、名前を覚えるための歌もあるようです。その大路小路の色んな所からまわりの山々が見えて、「あれが比叡山、あれが大文字山」などと言うのも楽しいです。山笑うの季語が生きていると思いました。

素秀:吟行でしょうか。碁盤の目のような路地をあちこち歩いて、どっちの山を見ても春だなあと。

せいじ:山笑ふが三春の季語。古都は京都であろう。京都に長く住んでいる人の句ではなさそうである。一例として、京都に住み始めた大学生を思い浮かべてみた。京都は山に囲まれた盆地であり、また、大きな通りも小さな道もたいてい東西南北に伸びているから、どの道も歩くと真正面に山が見える。春の胎動を感じさせる四囲の芽吹き山が、ようこそと自分を歓迎し、がんばれよと激励しているかのようだ。語順がいい。