むべ:「遍路」が三春の季語。「蹲り」という上五に必死に祈っている様子が察せられ、老遍路の若き日に思いをいたすような一句。自分の人生を振り返る年齢に至ったとき、罪や過ちをそのままにするか、それとも……

素秀:お遍路さんを見ることは多いのですが、バスから降りる観光気分の人もいれば悲壮感のある歩き遍路もいます。何があったのだろうかと、心配になるほど祈っている人もいます。鎮魂、浄化、贖罪それぞれ結願まで背負い続けて行くのです。

せいじ:遍路が春の季語。水子地蔵にうずくまって祈りをささげる年老いたお遍路さん。女性かな? 作者は、人生の年輪を刻んだその後ろ姿に、強く心を打たれたに違いない。「蹲り」がすべてを表している。

豊実:「蹲り」がこの老遍路の心情を露骨に表わしている。中絶をしたことを詫びているように思います。