うつき:まっすぐ立っていた芒の穂がほどけはじめた。花芒となって四方に揺れている一叢はすっかり秋の風情だ。調べよい簡潔さに惹かれます。

あひる:出たばかりの芒の穂は固まっていますが、それがはらりと解けて紅色めいて野にある様子を時々見ます。右に傾いて解け左に傾いて解けて、はらりはらりと広がっていくのでしょう。壺に生けられた花芒かも知れません。

せいじ:花芒が秋の季語。芒の花穂そのものが左右にほどけているようにもとれるし、花穂がでたばかりの芒全体が、垂れ下がるようにではなく、左右にほどけるように、緩やかな曲線を描いているようにもとれる。正面から見ると左右だが、実際は四方八方なのであろう。口に出して読むと何とも調子がよい。

素秀:とけは解けでしょうか。芒の花が開く様子を解けているとみています。一塊の芒のむぐらの左右に広がる様もあるようです。

むべ:「花芒」が三秋の季語。ただの芒ではなく「花芒」なので、「とけ」は穂がほどけている状態でしょうか。一方向ではなくあちこちを向いてほどけている。また「穂芒」でもないので、美しく色があったのかなぁと想像します。まるで大勢の人が思い思いに手を振っているかのよう……

豊実:芒の種が風に飛ばされて穂が痩せていく様子を「とける」と表現したのだと思います。風で左右に揺れる芒に風情があります。