素秀:月を待つ芒の立ち姿に自分の来し方も見て正しいと納得しているようです。

うつぎ:立って月の出をまだかまだかと待つ17日の月、素十さんは真っ直ぐたっている芒に目がいきました。これぞ芒のあるべき姿、月と芒そして素十さんの心が通い合っているようようです。

豊実:「正しさ」とは、他のどんなものよりも芒がやっぱり月に似合うということかなあと思いました。満月ではないので、ここでは芒が主役かなと思います。

むべ:「立待の月」と「芒」が秋の季語。立待月は名月の後、だんだん月の出が遅くなり、名残の月の感が深まってきます。芒の垂直方向へまっすぐにのびた姿と、人が立って月を待つ姿を重ね、二つの季語がとても生かされた句だなぁと思いました。下五の「正しさよ」の詠嘆は、自然が調和している、あるべき姿、理想形をそこに見たよ……ということでしょうか。

あひる:正しさよという措辞がユニークだと思いました。月はわずかに欠けた立待の月らしい美しさ、芒はまっすぐに立ち白い穂が月光に浮かび上がっている。一幅の絵として、正しく出来上がった情景だったのかなと思いました。

せいじ:立待の月は満月から二日目の月。月の出をまだかまだかと立って待っている心持ちと、芒の整った立ち姿が通じ合う。月が出たときの喜びはいかほどであろうか。しかし、その喜びは芒の正しさによって静かな喜びと変わる。