素秀:家を出たほんの数歩で春風に吹かれて春を感じる。書いてはいませんが朝かなと思わせます。風なので直接春を身体に感じたようです。

あひる:長い冬をやっと抜け出て、やさしい春風を感じた作者、用もないのについ門を出て歩いてしまったのでしょう。待ち焦がれていた春の喜びが「数歩」に溢れています。

むべ:「春風」が季語。上五で外に出た理由がわかります。目的地に向かう外出ではなく、家の中に籠っていられずについ家の外に出てしまったのでしょう。部屋着につっかけ姿だったかもしれません。「数歩かな」の詠嘆に作者の驚きも感じます。「春日」でもなく「春光」でもない。「春風」という季語が存分に活かされた一句と思いました。

せいじ:家を出て二三歩のところで春風さんに出合ったよというのではないだろうか。家に籠っている間に、待ち焦がれていた春が、もうすでに来ているんだという感慨を「数歩」に感じる。

豊実:春風に誘われてどこかへ出かけたくなるが、特に行く当てはない。とりあえず、家の外に出てみた。春風が気持ちいい。