むべ:「月」が秋の季語。月の神ではなく月の王なのですね…インカ帝国最後の皇帝はスペイン軍に処刑されたそうですから、マラリアか天然痘で亡くなった彼の父帝のことかもしれません。神話の世界観も感じ、大変スケールの大きな句だと思いました。

うつぎ:遺跡を照らしているこの月を王も見ていたことだろう。インカ帝国の滅亡に思いを致されているようです。

あひる:山の頂につくられたペルーの古代国家は謎めいています。太陽の神殿と月の神殿もあるとのこと。忽然と滅びた国の歴史も想像を掻き立てます。この五七五は、それだけでまるで物語のようです。太陽よりも月の方が神秘的で、秋の澄んだひんやりとした空気が、悲しみと悼みの気分を誘います。

素秀:月の王とは誰なんでしょうか。インカ帝国は太陽神を崇めていましたから日の王なら最後の皇帝かと思います。それにしてもスペインのやり口、疫病を持ち込み内紛を誘い、、、

せいじ:アンデスの山にかかる秋の月を眺めながら、インカ帝国がスペインに滅ぼされた遠い昔に思いを馳せている。王の死が国の滅亡につながったという話を聞いたのではないだろうか。「月の王」とは、いま見ているこの月が遍く照らすこの地域をその昔統べていた王というような意味ではないかと思った。

豊実:マチュ・ピチュの遺跡あたりで月を眺めているのかもしれません。インカ帝国の謎は月のみぞ知る。