素秀:この時期の花はみな雨が似合うものばかりです。降り続く雨は本降りですが花の美しさを損なうものではなさそうです。

うつぎ:花びらの上を真っ直ぐに流れ落ちている雨ととられたようです。やや強い雨かも知れません。花びらの大きさや色まで伝わり深い観察眼を感じます。

むべ:花菖蒲が初夏の季語。梅雨時、菖蒲池に雨が降り、咲いている花の上を流れ落ちていく雨粒がとても美しかったのではないでしょうか。

豊実:水滴とか雨粒ではなく雨と言ったのが特徴的な表現かなと思いました。小雨ではなく、かなりの雨に花菖蒲が打たれているように感じました。

あひる:何かの花びらの上を流れる雨、というのはありそうでいて、私は見たことがありません。花菖蒲の花びらは外側に垂れていて、雨が流れ落ちるのにぴったりだと、この句を読んで気が付きました。流れる雨と菖蒲の色と形が目に浮かんできました。

せいじ:花菖蒲が夏の季語。花菖蒲の咲く頃は雨の多い季節である。しとしとと降った雨は、花びらの上で小さな水玉から大きな水玉となり、ころころころと流れて花びらの先端から地に落ちる。作者はそのような動きをじっと眺めている。まことに花菖蒲には雨がよく似合う。