うつぎ:水が行き渡っているのであやめが返り咲いているよ。穏やかな初冬の日の寺領の菖蒲園などが浮かびます。辺りの静さと紫の色が際立ちます。

素秀:あやめに返り花があるとは知りませんでした。しかも水辺のようですし、杜若か花菖蒲と間違えたのかとも。寒咲きあやめなど冬に咲くあやめもあるようです。

せいじ:返り花が冬の季語。あやめはやや乾燥した草地に群生するというから、この句の「あやめ」は水辺に栽培されている花菖蒲ではないだろうか。季節外れの暖かさに池の水も温んでいる。ぽつんと咲いた返り花のまわりには何もなく、ただ水面だけが広がっている。

あひる:返り花が初冬の季語。水広き故…に戸惑いましたが、大きな池の水は小春日の日射しで幾らか温んでもいるのでしょうか。寒い日もあるというのに、季節を間違って咲く花を愛おしく感じます。

豊実:狂い咲きの理由を水辺の広さにしたのがユニークだと思います。広い水辺のたくさんのあやめの中の一つや二つはいつ咲いてもおかしくない。