うつぎ:盃に映っている月が逃げないように、壊れないように、大事に大事に押し頂ている両手を想像しました。 ふと祇王寺の庵主様が浮かびました。

素秀:尼の持つ盃には酒が入っているのでしょう。不飲酒戒の無い宗派なのでしょうか。盃を持った手は月の光に照らされて白く美しかったのかも知れません。

あひる:尼とか尼さんではなく「尼さま」という優しい言い方に尊敬の念を感じました。また、作者が言いたいのはその「手」ではないでしょうか。女性の出家修行者である尼さんの手は、決して白魚のような美しい手ではなく、さまざまな作業で鍛えられた少し荒れた手だったかも知れません。その手にのせられた盃に美しい月が映っていましたよ・・と、尊敬と優しさが籠っているように思いました。

せいじ:月が秋の季語。尼寺で行われた月見の宴、尼僧に月見酒をふるまわれた。差し出された尼僧の両手にのっている盃には月が映っている。盃を取ると、青白い月の光に照らされた尼僧の手が目の前に現れた。尼僧はどのような手をしていたのだろうか。

豊実:月の盃の意味を月のように美しい盃だとすると季語がないので悩みました。尼さまが持っている盃の酒に月が映っているのでしょうか。