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目力の阿吽の仁王若葉風
水満ちて燕旋回千枚田
あめんぼう風に促されて進む
波止の灯の等間隔に朧かな
太公望竿を一閃風光る
花筏大瀞を埋めつくしたる
永き日の貫主なかなか俳句通
赤髪の托鉢笠や青葉雨
海の綺羅飲み干すやうにソーダ水
人も虫も甘き香の中藤白し
鐘楼の形に刈り込む青葉寺
海おぼろ島影浮かぶカフェの玻璃
老朽のレンガ造りや苔茂る
葉桜や轍の跡のにわたずみ
藤棚やお喋り止まぬ婆二人
鳩の群風にさ揺らぐ藤の花
森林のこぼれ日眩し薄暑光
金色の大阪城や花は葉に
著莪の花ヘアピンカーブ休憩す
魚鼓一打写経の墨に若葉風
新緑の池面に鯉の波紋かな
うねりゆく若葉の宇治の流れかな
参道にみな浴びてゆく新茶の香
街路樹は新芽立つ茶や宇治をゆく
終着駅迎へくれしは軒燕
車道いま躑躅に躑躅咲きつらね
若葉雨木琴のごと車窓打つ
末垂るる木香薔薇の万朶かな
山吹の黄に染まりたる石畳
呼び鈴の藤房隠れ手探りす
茶畑のこれみよがしに隣る駅
阿字池のさざなみと和す藤の影
ジャグリングする男の子あり春の土手
反橋を渡りて宇治の春惜しむ
阿字池の洲浜を撫づる春の波
どすこいと孫の突つ張る花の下
肩寄せるふたり見下ろす花満開
一本の香る松月桜かな
車座の泰語にぎやか花の下
途切れなく笑い声して飛花落花
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