2014の吟行作品

やまだみのる

目次

2014年11月7日

高砂市市ノ池公園


蓮根掘をする媼

『蓮根掘』

蓮根掘泥の曼荼羅踏み分けて

蓮根掘媼は泥の顔で笑む

蓮根掘り尽くされ池は泥鏡

エアホースもんどりうつは蓮根掘

真青なる空秋嶺を抱擁す

秋天を支ふポプラの大樹かな

車駐む桜紅葉の天蓋下

鏡池縁どる桜紅葉かな

さざなみて小春日を揉む汀かな

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2014年10月23日

京都大原三千院


苔庭のわらべ地蔵

露の珠おく天鵞絨の苔の上

蹲の苔秋水を溢れしむ

苔庭の瑞々しさよ菊日和

五指そつと触る苔庭の露けさに

苔庭に洩る鉾杉の秋日影

星屑に似し杉苔の露けさよ

金風や極楽院の三尊に

錦繍の樹間に往生極楽院

屈み見るわらべ地蔵に秋思あり

露けしや苔に埋もれし稚児仏


心洗われる池泉庭園の景

人面の鯉と目の合ふ秋思かな

錦鯉散らして水の澄めりけり

色鳥の一擲したる池泉かな

振る舞ひの野点に古寺の秋惜しむ

朱の欄に聴く律川の秋の声

源は律川といふ池澄める

浄土模す院の奥処に秋惜しむ

森ここだ露けき石はみな菩薩

カメラ女子身をくねらせて紅葉撮る

梢洩る色葉明かりに朱雀門


秋寂ぶ大原の里

露けしや洩れ日とどかぬ深山道

石垣をキャンバスとして蔦紅葉

呂に律にさざめく古都の紅葉川

絹晒し落つ堰堤の秋の水

しば漬の店を梯子や秋遍路

袖合はす山懐に秋意あり

遙拝の比叡遙かに鳥渡る

大原女の径と標や草紅葉

吾妹子の後れつきくる野路の秋

秋興や地場の野菜を家苞に

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2014年5月28日

伊丹郷・墨染寺


伊丹郷のまちなみ

『鬼貫碑』

下闇の碑文に縷々と落城史

夏草や城址といへど土塁のみ

島嶼模す枯山水の石涼し

石庭の箒目に涼もらひけり

蔵屋敷出入り自由や土間涼し

一部屋はクラフト展や夏館

煤びかりせる太梁や夏館

鬼貫碑訪ふも俳諧遍路かな

仮名涼し達筆すぎて句碑読めず

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2014年4月30日

乙訓寺の牡丹



乙訓寺の牡丹

『白牡丹』

昨夜雨の狼藉憎む牡丹守

朱唇触るるごと屈み見る白牡丹

曇天の暗さを払ふ白牡丹

斯く粋美なりし汝は白牡丹

ひしめくは牡丹にひらく傘の花

ぼうたんにさす傘天地人なせる

散華せしぼうたんの傘畳まるる

牡丹百寺領狭しと艶競ふ

今日明日の命と思ふ牡丹あり

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2014年3月26日

太閤園


太閤園のお庭

『池塘の春』

雨もまたよしと池塘の春惜しむ

水面うつ雨音もまた早春譜

唄ふごと雨の水輪や池の春

芽木の雨本降りとなる亭午かな

春雨に濡れて忿怒の仁王石

珠と落つ芽木の瑞枝の雨しずく

春落葉託つ園丁話し好き

簷深き迎賓館の春ともし

集めたる奇石珍石庭の春

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2014年3月11日

春季雑詠


綾部山梅林

『梅寒し』

大聖樹ポインセチアを籬とす

コロンボのコートに似たるルンペン氏

日向ぼこ小犬はじっとしてをれず

思惟深き磨崖弥勒や冬紅葉

工事場の轍は深く凍てにけり

左義長に燻る片目達磨かな

海跨ぐ橋は朧に浮きにけり

強東風につくばひの水落ち着かず

梅寒し甘酒茶屋へエスケープ

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