2011の吟行作品

やまだみのる

目次

2011年12月01日

みのるの一日一句より

わが庵の狭庭に余る小春かな

ホバリングしてをる虻や石蕗日和

ぼろぼろの蜘蛛囲に縋る主かな

釣果などどうでもよろし日向ぼこ

一条の日矢に水底紅葉燃ゆ

やや疲れ見せたるもあり賞の菊

秋行くと河原芒の疎となんぬ

虻たちの宴たけなはや石蕗日和

紅葉狩グルメ目めての妻が供

喜びを相頒かちあふ温め酒

灘五郷蔵し六甲山粧ふ

もの見して枯木の烏啼きにけり

炎上のごとき夕日の櫨紅葉

利き酒に饒舌となる木の葉髪

水の上をたたら走りし鴨翔ちぬ

あつあつのうどんを所望紅葉冷

山錦して舎利塔を荘厳す

シスターのベールに触れて銀杏散る

友禅を晒す水面の散り紅葉

水ナ上へハの字ハの字や鴨の水脈

2011年10月28日

みのる庵・枯蟷螂


みのる庵の枯れ蟷螂

『枯れ蟷螂』

 

闘志なく枯蟷螂の慈眼かな

蟷螂の裳裾はいまだ枯れてをらず

枯蟷螂剪定ばさみ睨みけり

枯蟷螂といへど碧眼もてりけり

老い吾を相哀れむか枯蟷螂

わが庵の居心地如何枯蟷螂

縋る枝よりも枯れゐし蟷螂かな

斯く枯れてなほ鎌挙ぐる蟷螂かな

枯れし頸かしげ吾を見る蟷螂かな


2011年10月26日

京都府八幡市・松花堂庭園


松花堂庭園金明孟宗菊竹

『草庵の秋』

 

琅玕に玉の日絡む小春かな

苑小春和服美人の一と屯

玉のごと小春日まろぶ小川かな

玉の日に佇みをれば秋蝶来

冬日いま悲恋の塚を抱擁す

竹林の風に縺るる秋日影

秋澄むや水琴窟の音もまた

苔庭へ錐揉み落つる竹落葉

草庵の侘びさぶ秋を聴きにけり


2011年10月18日

バスツアー・上高地


上高地河童橋から穂高嶺の全容を望む・手前は梓川

『上高地の秋』

穂高嶺の山襞しるき秋日影

手庇に遠嶺の秋を惜しみけり

木道は二本丸太や秋山路

ガイド指す主峰忽ち霧隠れ

抽ん出し主峰は雪を被きけり

澄む水に裳裾を映す主峰かな

いま下りて来しと秋嶺指されけり

立ち枯れとして澄む湖に直立す

河原石洗ふ瀬音も秋の声

峡谷の大吊橋に秋惜しむ


2011年05月28日

芦屋・高座の滝 / 須磨離宮公園


須磨離宮公園の大噴水

『百万本のバラ』

木隠れに仰ぐ岩頭滝落つる

滝壺は天降る木洩れ日もみにけり

呂に律に奏づ瀬音や滝の道

百丈の岩を研ぎつつ滝落つる

切り岸に雪崩るる風の歯朶涼し

噴水のラインダンスや遊歩道

春陰のカメラは無聊野鳥待つ

ホバリングして侍者のごと薔薇の虻

たもとほる百万本のバラの香に

水底に日の斑のをどる泉かな


2011年02月15日

中山寺・大涅槃絵


涅槃絵が開帳されている中山寺大願塔
残念ながら絵図は撮影禁止でした。

『涅槃』

山門の雪解水吾を洗礼す

所化僧ら総出で磴の雪を掻く

ゆくりなく雪の濁世や涅槃変

読経いま寝釈迦覚めよと堂に満つ

虎も威をうち捨てて哭く涅槃絵図

裾の辺に異な虫の這ふ涅槃絵図

所化僧の絵解き怪しき涅槃かな

飛簷より喝と落ちたる雪解かな

殉国者慰霊塔たつ雪間かな

ベンチみな深雪を積みてやくたたず

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