みのる:康子解にある通り秋茄子は皮が柔くて甘みがあり焼茄や漬物で食べるのがお勧め。表皮に結んだ雨粒が透けてアメジスト色に染まりまるで宝石のようだと感じたのですが、同時に "美味しそうだなぁ…" という期待感も含まれているように思います。

むべ:秋茄子の皮の色は、夏の茄子に比べ一段階濃い深い色なのではないでしょうか。昨夜の雨に濡れ、表面についた滴が凸レンズの役割を果たして、皮の色を映しています。滴は無色透明のはずなのに、透き通る紫色に。まるでアメジストのよう…宝石をまとう秋茄子に、朝からしばし見惚れてしまったよ…というのが句意かと思います。ささやかな自然の造形を見逃さない作者の感性に驚きます。見慣れた家庭菜園での出来事ならなおさらです。

えいいち:秋茄子を朝採りに行ったのでしょう。茄子の表面に今朝がたあがったばかりの雨を大きくはじいて玉になっています。朝日がきらっと光った瞬間に紫の輝きを感じサッと近づき茄子の水滴に見入ってしまっている作者を想像しました。日に光る雨滴から透けて見える美しい紫色をアメジストとはなんとうまいたとえなのでしょう。作者の観察眼と発想は素晴らしいと思いました。

澄子:瞬間をまさにそのまま切り取った御句。雨上がり 少しひんやりとした清澄な空気感……秋茄子の表面についた雨滴の大きさやコロンとしたかたち 美しい透明感………それらを…一気に宝石アメジストと讃え これから一日秋晴れを予感させる朝の情景を想いました。

康子:秋茄子と夏茄子の違いを調べてみました。秋茄子は昼と夜の昼と夜の気温差と柔らかい日光のなかで育つので、皮が柔らかく水分を多く含んだ茄子になり、こうして環境で育った秋茄子の方は甘みや旨味が強いと言われているそうです。コロンとした雨滴がまるで宝石のアメジストのように見えた。アメジストはまさに光る茄子のような色です。しばらく収穫せずに見とれていたのでしょう。でも雨滴はすぐに落ち、落ちればただの水…「アメジスト」の措辞の後の、儚さを感じる気持ちを想像してしまいました。

かえる:畑から秋茄子を収穫。内側から張り返すようにぱんぱんに身の詰まった新鮮な茄子は、濃い紫色の実にびっしりと雨滴を纏っています。雨晴れて再び照る陽の光を浴び、水は茄子の皮を透かせて、まるで自身が紫色の持ち主であるかのごとく輝いているのでしょう。振り払うとアメジストは簡単に消えてしまいますが、早くも気持ちを切り替え、ざるいっぱいに収穫した茄子で、今日はなにを拵えるかで頭をいっぱいにされているかもしれません。