みのる:ひざ掛も季語ですが揚句の季感は教会で行われているクリスマス・イヴ、作者はその集会に招かれたのです。情況はむべ解が詳しいです。来会者全員に渡すほど膝掛けは揃えていないので座席についてからの写生と思います。広い会堂には窓際であったり暖房の効きにくい死角があったりします。目配り気配りして察知した奉仕者が寄ってきて声をかけたのです。

えいいち:チャペルが教会の礼拝堂ならばきっと床は土間コンクリートなどでクリスマスの時期は相当冷えて寒いのではないでしょうか。しかし「膝掛けをどうぞ」という言葉だけなのにこの句はとても暖かみを感じます。チャペルというと式場ような雰囲気を感じるからなのでしょうか。

澄子:クリスマスチャペルすなわちクリスマス礼拝堂 これからクリスマス礼拝が行われるのでしょう……多くの人が集まるとはいえ 聖堂はがらんとした空間で冷え込みます。入り口でさり気なくひと声「どうぞ」とひざ掛けを手渡された情景が浮かびました。何気ない気遣いに感謝されていらっしゃる作者の様子が浮かびました。ひざ掛けに作者の気持ちの焦点があるような気がしました。

康子:風花の句で教えていただきましたが、掲句も季語は二つあるが同季であり焦点が合体している…クリスマスチャペルという場所によりさらに「ひざ掛け」の暖かさと優しさを感じる…相乗効果が発揮されているのだと思いました。讃美歌が流れる中?でしょうか、どなたかが「そっと」ひざ掛けを渡してくれたという状況が浮かびます。「ひざ掛け」の季語の温かさが存分に伝わる御句でした。そして五七五の整え方が勉強になりました。

むべ:作者はクリスマス礼拝に出席すべく教会を訪れたのでしょう。どなたかクリスチャンのご友人に誘われたのかもしれません。ここでのチャペルは建物のことではなく、礼拝そのものを指しているのかもしれません。(カトリックのミサはプロテスタントではチャペル、サービスなどと呼びます。)式次第やお土産など入口でいろいろ渡されたのですが、着席してみると、足元がけっこう寒い。とそこへ教会員がひざ掛けを持ってきてくれました。「ひざ掛け」「クリスマス」の季重なりですが、焦点が分散することなく、むしろ教会で受けた小さな親切に神の愛を感じてほっこり、という季語の相乗効果でしょうか。