康子:「初便り」が新年の季語。「二三行」と意味深な内容で終わっているのが面白い。年賀状ではなく一筆箋の「初便り」としているので、例えばしばらく音信不通だった方に年賀状を送りその「返信」として荷物が届き、そこに「季節の挨拶」とただ「元気です」の二三行の一筆箋が添えてあった。それが嬉しく元気であることが分かり安心した。「初便り」の季語により新年の清々しい作者の気持ちを想像することができました。

澄子:「初便り」が新年の季語。新年になり初めて交わす便り、主に年賀状とありました。つい自分の事に準え なにかお年賀的なものを贈る時「一筆箋に二三行」ごく短い文を添える事はよくあるなぁ……と。こちらの御句はおそらく受け取られた側ではないかと思いました。数字的に零、一、ニ、三とリズムがあり 簡潔で余韻の拡がりが感じられる句だと思いました。

かえる:初便りが新年の季語です。一筆箋は季節感のある美しいデザインのものが多いので、少ない字数で余白が目立つくらいの方が全体が引き立つように思います。相手を思い心を込めて選んだ紙に、味のある文字で留める数行のメッセージ。受け手が嬉しいのはもちろんですが、送る側も存分に楽しんでいます。普段はついつい便利なLINEを重用してしまいますが、この句から手紙の良さを感じます。

むべ:「初便り」が新年の季語。年が改まって最初に差し出す・受け取る便りのことだそうです。年賀状ではないという注意書きが歳時記にありました。想像ですが、作者は何か小包のようなものをどなたかに送ったのではないでしょうか。一筆箋に数行の短い近況や相手を案じる言葉を記して。さらりとした愛情、じんわりとした遠赤外線のような思いやりの示し方が粋ですね。

せいじ:初便りが新年の季語。元旦に届いた年賀状の束の中に、はがきとは形の違う封書が交じっており、開けてみると、新年の祝賀などを二三行でしたためた一筆箋が入っていた、ということだろうか。もしかしたら、俳句が書かれていたのかもしれない。奥ゆかしい年賀状をいただいた喜びが感じられる。