澄子:「花ひひらぎ」が初冬の季語。モクセイ科柊の芳香ある白い花をイメージしました。黒土に溢れているこの小さな白い花も一日足らずで跡形もなく土に紛れてしまうのだなぁ……という作者の感慨……平明で清らかさのようなものを感じました。青い実をつけるのはメギ科の柊南天。クリスマス頃赤い実をつけるのはモチノキ科の西洋柊。葉っぱが似ているだけで違うものだということを初めて識りました。

康子:柊の花を見たことがないのですが「こぼれ」と「土に帰す」の措辞により粉のように小さなお花のイメージが浮かびました。また「土に帰す」の上五としての表現や、初冬の季語「花ひひらぎ」の目立たず可憐なお花が散っている姿により自然を尊み慈しむ作者の気持ちが伝わってきました。

えいいち:花ひひらぎが初冬の季語。ヒイラギナンテンやセイヨウヒイラギはよく見かけるのですが私は柊をあまり見たことがありませんのでネットで調べてみましたら小さな白い花で綺麗でかわいいですね。「こぼれかな」という措辞から作者は感傷的な気持ちで落ちてゆく可憐な花を眺めているのですが、はじめに上五の「土に帰す」と言い切っているのは花が落ち土にかえる自然の姿を讃えているのではないかと思いました。

あひる:花ひひらぎが初冬の季語。柊の花がひっそりと咲いている様子を、いつも何とか詠もうと頑張ってきましたが、言葉がすぐに底をつき、もう諦めていました。こぼれた花屑、土、そしてそれが自然の営みの中にあるという気付き、さっと見て出来る俳句ではないと思いました。反省しました。

せいじ:花ひひらぎが初冬の季語。柊の花は、かすかに甘いにおいのする花であるが、小さくてあまり目立たない。こぼれ花もあまり目立つものではなく、白い粉が土にまぶされたように見える。「土に帰す」(有機物が完全に分解されて土壌の一部と化す)と表現したところが印象的であり、そこに作者の主観が隠されていると思った。

むべ:「花ひひらぎ」が初冬の季語。柊の花は小さく白く、とても可愛らしいですね。そしてやさしげな香りもあり、垣根などに柊が咲いているとついそばに近寄づきたくなってしまいます。作者は地面に落ちている柊の小花を見て、土にかえっていく自然の理を感じています。小さな小さな花の咲き終わりから、大自然の循環へ、視点の変化がとても面白いと思いました。