あひる:フレームが三冬の季語。作者はフレームの中へ入り、BGMを耳にしたようです。そう考えると、そのフレームは観光用の温室のような、かなり大きな物と思えてきます。そして植物はハワイを思わせるような、ある程度大きなものを連想します。寒い戸外から暖かな温室へ入った作者は、思わずフラダンスを踊りたい気分になったのではないでしょうか。

康子:フレームという季語を初めて知りました。我が家の近くにはビニールハウスが沢山あります。もしこれがビニールハウスの事でしたら、私なら「ここの農家の人はハワイが好きなのかな、ちょいワル親父的な人がやってるのかな、それとも二代目かな、もしくは野菜を愛して野菜の為にお爺さんがハワイアンをかけてるのかな」と楽しく妄想すると思います。またこれがもし熱帯植物のハウスでしたら、外は極寒なのにここはハワイのような暑さで「またハワイに行きたいね」なんて話している様子を想像します。動詞を使わずに文字で軽やかな様子を表していると思いました。極寒の中でも温かい気分になる句だと思いました。

むべ:「フレーム」が三冬の季語。珍しい外来語の季語ですね。雪害・霜害から蔬菜や草花を守るガラス張り、ビニール張りの設備のことだそうです。個人的にはビニールハウスという語彙に近いものではと思います。寒風吹きすさぶフレームの外部から内部へ足を踏み入れた作者は、そのギャップに驚いています。なんとウクレレの緩やかな音楽まで聞こえてくるではありませんか。ここだけがまるで南の島のよう…17音のうちカタカナと英字が15音を占め、残る2音は助詞「の」「は」のみ。にもかかわらず、しっかりと伝えたい句意が伝わってきます。

えいいち:季語が分からなかったので調べましたら促成栽培の温室・温床の施設をフレームといいそれが三冬の季語だと調べてわかりました。冬の寒い時期にフレームの中ではBGMにハワイアンが流れていたという句だと思います。寒い冬でも栽培業者のご苦労で温室の植物は大きく育っていくのでしょう。フレーム内の温度はちょうどハワイアンを聞くような温度なのでしょうか。最近では植物に音楽を聞かせて育てる技術もあるらしいですが、作者は入室と同時にちょっとした驚きを感じたのではないでしょうか。そして冬なのに夏のような不思議な気持ちになったのではないでしょうか。

せいじ:フレームが三冬の季語。BGMを流しているということは、このフレームは、促成栽培用のビニールハウスのようなものではなく、熱帯や亜熱帯の植物を展示している植物園の温室ではないだろうか。中に入ると、ハワイアンが流れていて、まるで常夏のハワイにいるようだ。眼鏡も曇るし、厚着しているから汗ばみもしたであろう。冬に夏を感じる面白さを思った。