えいじ:「星飛ぶ」は、三秋の季語です。消灯された夜行バスに乗って、車窓から夜空を見つめていた作者が、やがて、流れ星による天体ショーの始まりに気づき、その瞬間を詠んだ句だと思います。「飛びはじめけり」とありますので、詠み手はあらかじめその日に流星の多いことを知っていたと思います。流れ星は、間断なく見れるものではないでしょうから、車窓から夜空をひたすら見据えている作者の姿も見えてきます。国立天文台によれば、今年のペルセウス座流星群で、最も多く流星が見られるのは、8月14日の夜明け近くだそうです。観測環境に左右されるようですが、流星数は、1時間あたり30個程度だそうです。宜しくお願いいたします。

せいじ:星飛ぶが三秋の季語。星が飛びはじめましたよ、流星がはじまりましたよと、心の中で叫んでいるようなので、たまたま車窓に流星を見たのではなく、流星を見ることを目的としたバス旅行でのことではないかと思った。現地にはもうすぐ着くのであろう。もう始まったよ~と、誰に訴えるでもなく、期待と焦燥の入り混じった気持ちで流星を眺めているのではないだろうか。

あひる:星飛ぶが秋の季語。流星群を見るバスツアーがあるようです。見る場所は都会の夜の光に邪魔をされない山の上かも知れません。バスはまだ目的地に着いてはいないのですが、バスの窓からはもう流星が見え始めたようです。これからが本番です。星飛びはじめけりとは、わくわくするような素敵な光景です。

えいいち:「星飛ぶ」が三秋の季語。夜行バスの深夜から明け方にかけて都会から離れた空気の澄んだ高原辺りを走行していた車窓からの情景の句かと思います。そのバスは故郷に帰省するために乗ったバスでちょうどその日は流星群のピークの日だったのでしょう。下五の措辞から流星の出現を待っていたような逸る気持ちを感じます。

むべ:「星飛ぶ」が三秋「流星」の子季語。作者は夜行バスに乗って遠距離を移動中という場面です。車内が明るいうちは外の暗い景色は見えにくいものですが、消灯時刻になったのでしょうか、窓の向こうに広がる夜空がよく見えます。すると一つ、また一つと流れ星が見えるではありませんか。「飛びはじめけり」ということは、一定の時間間隔を置いて流れ続けたということなので、毎年8月のお盆のころにやってくるペルセウス座流星群ではないでしょうか。天文現象との出会いというのは、天候、天体の運行、観測の立地などすべての条件が揃ったときに私たちにもたらされます。人間の努力やコントロールを超えた世界です。作者の静かな感動と喜びも伝わってきます。